失礼致します。甚だ僭越ながら自己紹介させて頂きます。私、本年度慶應義塾體育會柔道部並びに、慶應義塾大学理工学部1年の石畠大誠(いしはたたいせい)と申します。以後宜しくお願い致します。

私は2004年に富山県の津沢という、小さな町で生まれ育ちました。小さい頃から落ち着きがなく、よく親を困らせながら成長しました。そんな私が柔道を始めたのは2011年3月、小学校1年生に入学する直前のことでした。父親に強制的に道場に連れて行かれ、その日は恩師である宮田正春監督…ではなく、3年生の松永先輩の父親である松永文悟さんが指導をしていました。今思うと、稽古を初めて見学した日に迫力があって面白そうだと思ったことが不思議で仕方ありませんし、この日が私の人生においての第一の分岐点・出会いだったということになります。

小学校に入学後、津沢柔道スポーツ少年団に入団し、厳しい稽古の毎日が始まりました。私は落ち着きがない上に体は大きくても心がか弱かったので、周りの方々には「この子、すぐに辞めそうだな。」と思われていたそうです(これは、塾高に入学した後にも思われていたそうですが)。でも、辞めるという選択肢がない環境だったのと、私自身が中途半端が嫌いだったからこそこれまで続けることができました。(自分語りをし始めると止まらなくなってしまうクセがあって、生い立ちに関して語るととても長くなりそうなので、続きは次回以降語ろうと思います。)

中学を卒業後、慶應義塾高等学校に入学し、これを機に親元を離れて上京してきました。高校3年間はとてもイレギュラーなことが多く、大変でした。コロナ禍での行動制限、人生初の骨折と手術やリハビリ、後輩の退部とそれに伴った一悶着という言葉では片付けられない程の事件など、内容の濃い高校生活でした。最初の1年と最後の半年は特に辛かったですが、とても成長できた3年間だったと思います。

そんな私ですが、ついに大学生になり、慶応義塾大学體育會柔道部に入部させて頂きました。既に4月が終わり(と一言で言い表せられないほど色々考えて藻搔いた1ヶ月間でしたが)、このままあっという間に4年間が終わってしまいそうで怖かったので、きちんと明確な目標を立てました。

第一に、理系體育會柔道部員として、妥協しない、中途半端ではない4年間を過ごすことです。今の體育會柔道部には、理工学部の学生は私しかいません。1ヶ月間生活しましたが、前評判通り、理工学部の勉学は難しいです。しかし、私は情報学を中心に学びたいという強い意欲のもと、高校時代に厳しい理系選択をし、大学入学の際にも文転せず、自分自身と闘い抜くことを決意しました。これまでの決意や苦労を無に帰すことだけは絶対にしたくありません。理工学部では、1年次の成績(GPA)で配属学科が決定します。私が進学したい情報工学科は人気学科で、噂ではGPA3.0以上は必須だと言われています。決して低い値ではありませんが、将来やりたいことのためにも、これを目標に頑張ります。

第二に、胸を張って自伝できるような4年間を送ることです。この目標は曖昧で且つ馬鹿げていると思われるかもしれませんが、これを第二の目標にしたのには理由があります。それは、先述した通り、理工学部の柔道部員は私一人しかいません。従って、私が困っても、在学中の柔道部で理工学部の先輩に質問も相談も事情の共有もできません。このようなキツい思いをするのは私一人だけで良いと思っています。これを解決するためには、数年おきに後輩たちに理系に進学してもらう必要もありますが、私に出来る事としましては、後輩たちに良いルートを示すことができるような大学生活を送ることです。また、特に塾高柔道部生の中には理工学部に進学したいけど、勉強と柔道の両立が厳しそうだからという理由でためらっている後輩もいます。そんな後輩たちに、「あの大誠先輩が出来ているなら俺でも出来るでしょ」と思わせることができるなら、私はそれだけで満足です。とにかく、自伝というよりは道しるべとなれるように頑張りたいと思います。

そして第三に、同期や先輩、後輩との人間関係を大切にすることです。これまで生きてきた18年と少しの間において、自分一人では絶対に生きてこれなかったと痛感することが何度もありました。私は中学時代、1つ年上の先輩から陰湿という言葉で片付けたくないほどに辛いいじめを受けていました。そのせいもあって人間不信に陥り、常にネガティブで裏の裏を探りながら、最悪の事態を考えては怖気付いて生きていました。それが高校3年間を通して先輩方や同期の山元、さらには自分のことを慕ってくれる後輩たちと出会い、少しでも変わることができたと自負しています。内部進学なので、この関係性は継続され、さらに小学生時代から友達でライバルだった宗広と運命の再会(?)を果たし、計6人のかけがえのない同期ができました。田舎育ちで同級生男子も後輩も居なかった頃には考えられない人数で、全員とても大切な仲間です。将来、長い年月の間に喧嘩することもあると思いますが、仲間割れはしてはいけないですし、誰一人として絶対に欠けてはいけないです。體育會柔道部に在籍し、勝ち負けも大事かもしれませんが、それ以上に體育會でしか学べない人間関係を含めた、将来社会に出る時に大切になることを学びたいと考えています。

以上、長く自己紹介や目標を書いてきましたが、最後に私が一番大切にしている、父から授かった言葉を記して終わろうと思います。それは、

 『どれだけ先が長くても、目先の一つ一つのことを成し遂げていけば、きっと上手くいく』

という言葉です。これまで何度も挫けそうになりましたが、目の前のことに一生懸命取り組んで、何とか頑張ってきました。充実した大学生活を送るために、決して簡単には達成できない目標を立てましたが、先ばかり見ずに、1日1日その瞬間を大切にし、目標達成に向けて日々精進したいと思います。

目標明言の為、約2500字にわたる長い文章になりましたが、ここまで読んで頂き有難う御座いました。塾柔道部の一員として精進して参りますので、以後宜しくお願い致します。