医学部

受験方式

合格体験記

医学部一般入試

医学部2年 藤塚 捷 (城北高校出身)

1. はじめに
「少し、勉強を始めるのが遅いんじゃないですかね。」高三の七月になって高校柔道を引退し、初めて塾と呼ばれる場所に足を運んだ時に言われた言葉だ。確かに私は、一般的な医学部受験生に比べて勉強を始める時期が遅かったのかもしれない。だが、私の経験から言わせてもらえば、「勉強を早い時期から始めないと現役で医学部合格には間に合わない」なんてことはないのだ。
私はとにかく英語が出来なかった。高三の春の段階でも偏差値は50を切り、センター形式の問題では6割の得点も取れなかった。このことに問題意識を持たず、他の科目で挽回すればいいという安易な気持ちで高校生活を過ごしてきたのだが、高校三年生、受験を目前にした時期になってそう悠長なことは言っていられなくなる。受験を考えている大学の得点配分と合格最低点を調査し、私が本番で取ると予測される英語の得点を合格最低点から引くと、他の科目で満点近くを取ったとしても合格は厳しいことが判明したのだ。そのため、苦手な英語だけでも克服しようと駿台市ケ谷校舎に足を運んだ。その時に言われたのが上記の言葉だ。カチンとしつつも、とりあえず夏期講習を受講することにした。夏期講習の感想は、「金の無駄」。自分で参考書を読んだほうが遥かに効率的であった。
それ以降塾には全く通わず、学校の教室で自習を続けた。学校での自習は非常に有意義なものであった。自分のペース配分で自由気ままに勉強が出来る。そして何よりもクラスメートの存在が自分を支えてくれる。クラスメート達と一緒に昼飯を食べて、一緒に遊んで、一緒に掃除して、一緒に勉強して。高校生活で一番楽しかったものは何かと聞かれれば、受験勉強だと言えるぐらいに毎日が非常に楽しかった。
塾に通うことを否定はしない。ただ、金と時間を注ぎ込んでまで得られるものがあるのかを、これから塾に通うことを考えている方々に問いたい。塾に貢ぐ受講料でどれだけの参考書や問題集が買えるのだろう。どれだけの勉強時間を通塾時間に費やすのだろう。塾に通うことは合格することの必要条件でも十分条件でもないのだから、今一度よく考えてもらいたい。

2. 勉強について
総論
規則的な生活を心がけ、睡眠時間は絶対に確保してください。眠たいと、集中できなくなります。集中できない状態なら勉強なんてしない方がマシです。同様の理由で、病気の時は無理せず、一日でも早く治しましょう。
現役の方は学校の教室で勉強するようにしましょう。一緒に勉強する仲間がいるというのは、思っている以上に心強いものです。私のクラスでは、決まった時間に昼食を取り、決まった時間に掃除をするルールを作っていました。この昼食や掃除の時間は息抜きを兼ねていて、皆で雑談していました。廊下で相撲なんかもしました。
どの科目にも言えることですが、まずは基礎を固めてください。基礎を理解してから問題演習に進むことで知識も定着しますし、基礎が固まっていないときに問題を解いてもまるで分からず時間の無駄です。問題演習を進めていってつまったときは、一度基礎をやり直してみるのもいいでしょう。
単語帳や問題集は「五冊を一周ずつする」より「一冊を五周する」ほうが良いというようなことをよく聞きます。それは事実でしょうが、「五冊を五周する」方がいいに決まっています。受験勉強にやり過ぎは存在しません。

英語
毎日英語には触れておきましょう。一日でも英語に触れなかったら今まで積み重ねてきた努力は無駄になるぐらいの気持ちで望んでください。一日一文以上は長文を読んでおくのが理想です。
英文解釈の参考書を一冊は読んでおきましょう。語彙が豊富で文法を理解していれば理論上英語は読めるはずですが、事実そうではありません。英文を解釈する能力が足りないからです。私は英文解釈の参考書を読んでから飛躍的に成績が伸びました。
単語帳は例文を暗記するぐらいの勢いで。音読推奨です。例文を暗記していると英作文や長文読解の際に役に立ったりします。

数学
ただ問題を解くのではなく、その本質を見極めるようにしましょう。出題者の意図が読み取れると問題を解くのに役立ちます。そして答案はキレイに(決して字をキレイに、という意味だけではない)。答案は自分が理解するためのものではありません。他人が自分の考えを理解するためのものです。
わからない問題があっても、すぐに解答を見るのではなく、まずは自力で解けるところまで解いてみましょう。何時間粘っていただいても結構です。その過程がやがて血となり肉となり数学的思考能力を向上させます。

化学
ある程度は暗記です。ただ、マニアックな知識は余裕が出来てからでいいでしょう。自分が知らないことは他の皆だって知りません。皆が知っている知識を自分の中に定着させる方が先です。ただ反応式などを暗記するのではなく、何故そのようになるのか、するのかも考えておきましょう。
暗記の先には、計算とパズルが待っています。計算もパズルも習うより慣れろです。どんどん問題を解いていきましょう。その内に大半の受験問題は類題だと気がつくはずです。

物理
例えば角周波数ω[rad/s]の交流回路におけるコイル(L[H])の抵抗としてのはたらきはωL [Ω]だという知識は皆さん持っていると思いますが、それを一枚の紙とペンから導き出せるようになっておきましょう。ただωLという知識があるだけでは少し問題を捻られたときに対応できません。何故ωLなのかを説明できる能力が必要なのです。
また、学習指導要領外ですが、物理は微分積分を使うと非常に容易です。むしろ、本質は微分積分の方にあると感じます。大学入試の問題は微分積分を使わなくても解けるようになっていますが、使えば容易になります。

3. 慶應義塾大学医学部一般入試
どの科目も非常にハイレベルであり、問題量も多い。ここで重要になってくるのが、「得点できるところを確実に得点する」ということである。自分が分からない問題は他の受験生も苦しんでいる。そこに時間を割くよりも、容易な問題を確実に処理するほうが先決である。試験時間は無限ではないのだから。そして分からない問題も、白紙のままにしないで欲しい。何でもいいからとりあえず何か書いて、部分点を掠め取って欲しい。
実際の問題は自分で見てもらったほうが早いと思うので、ここで長々と説明はしない。ただ、慶應の過去問を解くなら十分に実力が完成されてからの方がいいだろう。先にも述べたが非常にハイレベルなので、実力が不十分なときに過去問を解いても徒労に終わるだろう。そこらの問題集を解いていたほうが遥かに有意義だ。
二次試験の小論文と面接は、もちろん最低限の受け答えは前提だが、あまり気にする必要はない。よほどの変人ではない限り、合否にはほぼ影響しないだろう。それよりも、一次試験の対策をしていた方がいい。

4. 最後に
これまでの文章で受験の全てが伝わったとは思わない。足りない部分があれば、以下のアドレスに問い合わせて欲しい。なお、このアドレスは私が学生である間だけ有効である。
藤塚捷 Email: suguru_fujitsuka@z5.keio.jp

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