大学に入ってから読書量は減ってしまったものの、中高時代はかなり本を読んでいました。百田尚樹、伊坂幸太郎、東野圭吾の長編小説を全て読破したことが僕の小さな自慢です。(内容を忘れてしまっているものも少なくありませんが)
特に僕が好きだった本は「手紙」という本です。僕はこの本から東野圭吾にのめり込むようになりました。
小さい頃に両親を失った兄弟愛の強い剛志と直貴は親戚に助けてもらいながら二人で暮らしていました。お金がなく大学に行けなかった兄、剛志は弟の直貴には大学に行かせたい、という一心から強盗を働いてしまいます。しかしその強盗は失敗に終わり家主も傷つけてしまい強盗殺人の容疑で刑務所に入ることになります。本来心優しい兄は刑務所から一月も欠かさずに謝罪の手紙を被害者と弟に送り続けていました。しかしながらその手紙は、直貴にとって、最初こそ嬉しい手紙であったものの、平凡な暮らしを脅かすものとなっていきました。血縁者に犯罪者がいることが手紙の存在から知れ渡ってしまい、弟のバンドのメジャーデビューのチャンスや、彼女でさえその手紙のせいで失って行ったのです。直貴は自分のために危険を冒してくれた兄への尊敬や感謝に近い気持ちと、自分の人生を壊されていく憎しみに苦しんでいきます。「兄は刑務所に入っている極悪犯」という事実だけで、まるで自らも極悪犯かのような生活を強いられ差別を受ける弟の、苦しみながら立ち向かっていく姿、そして曲がった兄弟愛の在り方を非常に上手く描いた作品です。ぜひ一度読んでみてください