こんにちは。
3年の織茂です。
先日、ある後輩のトレーニングを見ていた所、「努力しても強くならない。もしくは、努力すればするほど弱くなる」可能性を感じました。
(ここでの”強くなること”の定義は、”勝利に近づくこと”で、タンクトップが似合う胸筋がつくことではありません。)
練習を「頑張ること」はできても「頑張り方」を知らない人が多いと感じたので、部員の競技力向上の為にも、ここに僕の「努力の仕方」を共有したいと思います。
結論から言うと、「頑張ることが重要なのではなく、何を頑張るかが重要」です。
俗に言う「イシューの見極め」ですね。
正直、努力すること自体は楽です。疲れるだけなので。問題を見極めることが大変なのです。
今、目の前にある練習やトレーニングに対して「なぜするのか?目的は何か?」を3回程、繰り返してみてください。
答えられない人は注意です。
また、以下のチェックリストに該当する人は、要注意です。
・トレーニングや練習の意図がわからない
・試合における勝ちパターンが明確ではない
・頑張っても、強くなった気がしない
・筋肉をつけても、勝てない。もしくはすぐに怪我をしてしまう。
それでは、6つのステップを通じて、レクチャーしていきたいと思います。
[1,勝ちパターンの明確化]
・自分の柔道の強みを書き出しましょう。(例:持久力、受けの強さ、組み手、寝技の攻め)
・自分の柔道の弱みを書き出しましょう。(例:投げる技がない、瞬発力がない)
・上記の強みと弱みを踏まえて、自分の試合における勝ち筋を考えましょう。(例:しぶとく粘りつつ、スタミナを生かして指導を取りにいく。指導3で勝つか、相手が疲れ果てたタイミングで投げる。もしくは相手が潰れたタイミングで寝技で仕留める。)
(注:この勝ちパターンに持っていくことを意識しましょう。「どうしたら勝てるか?」よりも「どうしたら自分の勝ちパターンに持ってこれるか?」の方が考えやすいです)
[2,理想と現実のギャップの明確化]
・今の実力を確認しましょう(例:東京都学生2回戦負け)
・目標を書きましょう。(例:全国ベスト4)
・なぜ今の自分では、目標を達成できないのか?つまり、その舞台で勝ちパターンに持ってこれない要因を考えましょう。ブレスト。(以下、例)
-寝技への移行パターンが少ない為、寝技のチャンスできない
-攻め切るスタミナが不足している
-途中で肩を痛めてしまう
-パワーで負けてしまい、展開できない。
-投げる技がないので、相手にプレッシャーがかからない
-展開が遅い、リズムがない。
[3,優先順位をつける]
・上記でブレストした内容に優先順位をつけます。その課題が解決できた時に、向上する勝率が高いものから並べていきます。(以下、例)
-投げる技がないので、相手にプレッシャーがかからない
-展開が遅い、リズムがない。
-途中で肩を痛めてしまう
-パワーで負けてしまい、展開できない。
-攻め切るスタミナが不足している
-寝技への移行パターンが少ない為、寝技のチャンスできない
[4,解決策の考案]
・上記で優先順位づけしたものに対して、解決策を考えます。(以下、例)
-投げにいく技がないので、相手にプレッシャーがかからない
→投げにいく技(担ぎ)を開発する。技のキレをつけるために、瞬発系や全身運動系のトレーニングを実施する(ハイスナッチなど)。
-展開が遅い、リズムがない。
→下手な技でも良いので、繋げてリズムを作る。ラダートレーニングなどで、ステップのリズムとコントロールの強化。
-途中で肩を痛めてしまう
→可動域を確保するためにも、腹圧の固定と、それに伴う胸椎の伸展を意識する。肩周りの筋肉量を増やす。
-パワーで負けてしまい、展開できない。
→増量と、筋肥大を目的とした上半身のウエイトトレーニングを実施。特に頭を下げてくる動作に対抗する力をつける。食事と休息の管理。
-攻め切るスタミナが不足している
→乱取りで攻め続ける。また、休憩を入れず連続で乱取りを行う。坂道の10kmランを行う。
-寝技への移行パターンが少ない為、寝技のチャンスできない
→担ぎからの移行パターンを開発する
[5,計画に落とし込む]
・上記の解決策をどうやって実施するかを考えます。(以下、例)
-投げにいく技(担ぎ)を開発する。技のキレをつけるために、瞬発系や全身運動系のトレーニングを実施する(ハイスナッチなど)。
→技の開発は、打ち込みの時間と練習後に実施。瞬発系はフルパワーで行いたい為、練習前に実施。
-下手な技でも良いので、繋げてリズムを作る。ラダートレーニングなどで、ステップのリズムとコントロールの強化。
→乱取り中に繋げることを意識。練習後に振り返る。ラダーは神経系なので、練習前に実施。
-可動域を確保するためにも、腹圧の固定と、それに伴う胸椎の伸展を意識する。肩周りの筋肉量を増やす。
→ファンクショナルトレーニングは練習前に実施。筋肥大のトレーニングは練習後に実施。
-坂道の10kmランを行う。
→早朝に実施。邪魔になるので、できるだけ人が少ない時間帯に。
-担ぎからの移行パターンを開発する
→乱取り中に寝技の移行まで練習する。
[6,まとめ]
・TODOにまとめます。上位のTODOを優先。(以下、例。)
-打ち込みと研究の時間を使用して、投げる技(担ぎ)を開発する。
-瞬発力系のウエイトを実施。
-乱取り中は下手な技でも良いので、繋げてリズムを作る。
-練習前にラダーを実施し、ステップのリズムとコントロールを強化する。
-胸椎と腹圧のファンクショナルトレーニングを練習前に実施。
-肩周りのトレーニングを練習後に実施。
-増量の実施(階級+8kgを目標)。
-頭を下げてくる動作に対抗する上半身の力を練習後のウエイトでつける。
-トレーニング内容と睡眠時間と食事内容を管理
-早朝に10kmランニングを行う。
-乱取りでは一回も休まない。
-立技の乱取り中に、寝技の移行まで行う。
[終わりに]
ここまでやれば、「何を、何の為に、どのようにやるべきか?」がある程度明確になってくるはずです。
例に出したものは粒度が大きいので、もっと細かくできると良いです。
「努力は人を裏切らない」と言いますが、僕は高校時代に「99%の努力は平然と人を裏切る」ことを知りました。
特に、何も考えずウエイトに励んでいる人は裏切りのカモです。
「裏切らない1%の努力」を探すことに力を注ぎましょう。
希望者には1on1でコーチングするので、興味のある部員はお気軽に連絡してください。
余談ですが、この方法論は高校時代の経験に「イシューからはじめよ」という書籍から得た知識を加えて作りました。
おすすめの本なので、皆さんもぜひ。