こんにちは、成宮陸雄です。今年の梅雨は史上最速で明けてしまったそうで、雨もほとんど降らず、セミたちも土から出るタイミングを見失っていたのか、今週に入ってからやっと鳴き声が聞こえてくるようになりました。ただでさえ暑いというのに、聞いているだけでまた更に暑くなってくるような鳴き声です。今年もいよいよ夏本番といったところでしょうか。

そんなやや出遅れ気味のセミを片目に、六徳舎では6月に入ってからある虫が活動を活発化させています。ゴキブリです。舎生一同が意識を高く持ち、常に清潔(笑)に保たれている六徳舎ですが、周囲の自然豊かな環境もあってか、すでに5匹が出現しています。皆様のご自宅はいかがでしょうか。同期の櫻井のアパートにも5匹いたそうですね。汚いです。私は幼少期から虫や生き物が大好きで、今でも大概の虫は素手で触ることができます。そんな私が六徳舎のゴキブリ駆除担当な訳ですが、あの独特な色やフォルムと、素早い動きにはいつまでたっても慣れません。他の虫は捕まえて外に逃せば良いわけですが、ゴキブリは殺さなければ気が済みません。いつもホウキを無駄に振りかぶり、日頃の鬱憤をゴキブリに叩きつけています。そんなゴキブリについて、巷ではさまざまな噂が飛び交っています。そこで今回は私がゴキブリの都市伝説の真偽を少しばかり解説させていただこうと思います。

・ゴキブリを1匹見かけたら、その家にはゴキブリが30匹いる→半分本当

ゴキブリがその家で繁殖していた場合、幼虫や成虫を含めかなりの数のゴキブリがいる可能性があります。アリのように群れで行動したりするわけではありませんが、ゴキブリが1匹いた場合、それはゴキブリの集団の中の1匹であるかもしれません。しかし、ゴキブリは餌を求めて動き回るので、たまたまゴキブリが1匹家に迷い込んでしまったという場合もあります。常にゴキブリが家の中で大量発生しているとは限りません。

・水や人の髪の毛のみで長期間生き延びることができる→本当

ゴキブリは身体の中に脂肪分を大量に蓄えており、身の回りの食糧が少なくなっても脂肪を燃焼させることで生き延びることができます。それに、人が生活していれば、どんなに部屋を清潔にしていても、毛髪やフケ、食べ物のカスなどゴキブリの食料となるものは必ず落ちてしまいます。家をきれいにしてゴキブリを兵糧攻めにして根絶することは、現実的ではありません。

・食糧が完全に尽きてもコンクリートを食べて生き延びる→ウソ

確かにコンクリートを食べることはあるかもしれませんが、それはコンクリートに含まれるカルシウムを摂取し、ゴキブリをはじめ虫の身体を覆っている外骨格を補強するためのものです。ダンゴムシなどもカラを丈夫に保つためにコンクリートを食べることがありますが、ゴキブリもダンゴムシも、身体を動かすエネルギー源としてコンクリートを食べることはありません。

・人を目がけて飛んでくる→ウソ

ゴキブリが人を目掛けて意図的に飛ぶということはありません。身の危険を感じて飛んで逃げようとしたとき、人が近くにいるとそこを着地点として飛ぶことはあるかもしれませんが、人を脅かしたり攻撃したりするために飛ぶことはありません。

・死ぬ直前に卵をばら撒く→ウソ

まずゴキブリの卵は細かい粒がバラバラになっているのではなく、30個ほどの卵がまとまった”卵しょう”という黒い小豆ほどの大きさのものを1つ産みます。ゴキブリはこの卵しょうを産んでからしばらく持ち歩くため、そのゴキブリを殺すと卵しょうが残るということになります。卵しょうは大変丈夫で、潰したり殺虫剤をかけたりして殺すことはできません。もし見かけたら焼却するかトイレに流すのが良いでしょう。

・身の危険が迫るとIQが300に跳ね上がる→ウソ

そもそもIQとは、同年代の人間の知能を相対的に評価する指標であり、チンパンジーなどの霊長類には適用できても、ゴキブリに適用することはできません。また、ゴキブリなどの昆虫の脳は普通の神経が塊になったようなもので、人間のように身体中の神経を統括したり、複雑なものを記憶したり考えたりすることはできません。その代わりこの神経の塊は胸や腹など、身体の中に複数備わっており、条件反射的に翅や脚を動かすことができ、あの素早い動きを可能にしています。

・自分が飛べることを知らず、極限状態で覚醒することで飛べるようになる→ウソ

覚醒するわけではありませんが、確かに全てのゴキブリが飛べるわけではありません。ゴキブリの翅は生まれつき備わっているものではなく、成長を重ね成虫になって初めて翅が生え、飛べるようになります。自然の世界で小さな幼虫から成虫になるまで生き延びられる確率は非常に低いため、そういった意味では成虫になって飛べるようになったゴキブリは、修羅場をくぐり抜けてきたエリートと言えるかもしれません。

 

などなど、色々と脚色されてやたらと恐れられているゴキブリですが、自然界では枯れ木や動物の死体などを分解し、土に還すという大変重要な役割を担っています。とはいえ、自分の家に入ってきたらそんなことは関係ありません。去年はダストボックスに巣食っていたゴキブリたちをゴキジェットを丸々1本使って撃滅したので、今年は寮の隅々にブラックキャップを配置し、根絶しにしてやろうと思います。今回はこれにて失礼いたします。