こんにちは。雨の日が多くなってきまして気分も下がる日が続きますが皆様はお元気でしょうか。ご無沙汰しています松永です。

今回の部員日誌は昨日行われました東京都学生の団体戦についてご報告も兼ねまして書かせていただきたいと思います。

まず結果から申しますと、まさに「辛勝」でした。

僕たちのチームが掲げている全国団体で8位以内になるという目標のために全国に出場することは大前提、僕が大学柔道部に入ってからの3年間は都学団体は通過点という認識で、今回の一回戦のような入れ替え戦は初めての経験でした。

相手は武蔵大学、2部リーグ2位の学校で、ある程度リサーチはしたものの、はっきり言って想像以上の粘り強さのあるチームでした。

対する慶應大学柔道部は松永、櫻井、細谷、須永、澤田、都倉、藤井の7人、既に何度か試合をしたことのある安定のメンバーと策略で迎え撃つ計画でした。

はじめに、先鋒の僕は思うような試合をさせてもらえず、結果は最低限の引き分け。試合後に先輩にはよくやったと言われましたが結果としてチームに負担をかけたことに大きな後悔を残しています。

続いて櫻井、彼の良さが出しきれず僕の目からすると本来の40%ほどの力しか出ていませんでした。そこで同じくポイントゲッターとしての立ち位置の彼がまさかの技ありで敗北。流れが完全に持っていかれたのを感じ、慶應陣に大きな焦りが生じたことを鮮明に覚えています。ここにおいてもやはり僕の引き分けが作った悪しき雰囲気を感じ、最低限の任務はこなしたという感情と同時に罪悪感が増幅していました。

団体戦における「ながれ」の重要性を最悪の形で感じる試合展開となっていました。

どうにか遅れを取り返そうとする僕たちのチームは続く最上級生の先輩、細谷、須永にどうにかポイントをとってもらうことを望んでいました。

しかし相手も死ぬ気で凌ぐ柔道を徹底していて、攻めきれない展開が続きました。結局先輩方の攻めもポイントには届かず、4人目が終わった時点で0-1の想定する限り最悪の試合展開でした。

ここで5人目は同期の澤田。彼との付き合いも6年目になり、ずっと共に苦難を乗り越えてきた彼の実力を慶應柔道部で唯一理解しているのは僕だと思っていますが、そんな澤田は展開に呑まれやすい弱点があります。ましてや相手は武蔵大学の中でも群を抜いて大きな選手。澤田の苦手とする展開に相手、それを知っていたからこそ僕は心の底で応援しながらも半ば続く二人に託す気でいました。おそらく誰もがそう思っていたと思います。

しかし彼はそんな予想をぶっちぎりで超えてきました。後半、失速した相手の甘い組手を見逃さず突進力を活かした連絡技で技ありを取り、興奮が試合場を包んだのも束の間、最早逃げられる直前の体制で澤田が見せたのは苦手な寝技による逃げようとする相手の制御でした。この時点で残り試合時間は30秒ほどで、どうしても一本が欲しい状況下で華麗な寝技を極めて見せたのです。

逃げようとする方向に回り腕をとり体と腕でそれを妨害、また逆に回る相手に同じことをやってみせる、さらに少し角度を変えて逃げる相手にも頭を制して完全に制圧。

たった10秒、後に運命を分ける10秒で3回もの高度なテクニックが使用されたのを僕は見逃しませんでした。

結果、合わせ技一本となり最悪の状況を打開するきっかけとなりました。彼の一本に気づけば涙が流れていました。

そこから主将の都倉、藤井の流れでしたが、主将都倉はポイントを取るも技あり止まり、大将藤井は体重差に圧倒され反則負けを喫してしまいました。ここでポイントは全く同じ、運命の代表戦は主将が苦しくも指導3を奪い勝利を納めました。主将の意地を見せてくれました。

しかしお気づきでしょうが、紛れもなく澤田の一本がチームを勝利に導いています。

少々飛んで続く日大戦では僕と藤井がチームから外され、新一年の宗広、石村の初出陣となりました。日大は貫禄を見せ、次々に一本負けしていく中で6番目には澤田がいました。

先述したように澤田は展開に呑まれやすく、ましてや今回は既に勝利の線は消えた状態でした。試合前に大口を叩く時は大敗する彼も知っており、今回も大口を叩いていたのを聞いて流石に今回はよくやった、好きに暴れて欲しいと思った矢先、鋭い小内刈りが炸裂しました。大歓声が上がる中、冷静に次の手を考えているあの目は忘れません。そしてとうとう必死に迫る相手を捌き、小内、内股で牽制しながら返を狙ってきたところを隅返しで追い討ちの技あり。

感動を通り越して面白くて仕方ありませんでした。結果は大敗だったものの澤田は2試合連続で負の流れを断ち切っての一本勝ち。彼の勝利はもちろん嬉しかったですが、何より嬉しかったのは澤田の才能がピンチで華開いたこと。一緒にいた6年、いつもどこか一歩引いたところにいた澤田が全員の予想を裏切る形で才能を開花させてみせたことが堪らなく嬉しいです。

「やんちゃな新エース」爆誕の瞬間を目にした僕は柄にもなく柔道をしたいと思ってしまいました。

実は澤田に誕生日プレゼントをまだ渡してません。時効を待っていたのですが、流石に何かあげようと思います。ごめん澤田、もうちょい待ってて

今回の試合は苦しさを味わったものの、得たものは大きすぎました。僕が一人で戦っていないこと、強く聡い仲間と戦っていることを実感できたことが焦燥感以上に大きかったです。

一ヶ月後、全日本学生団体戦がありますがそこで新生澤田と、ずっと苦楽を共にした先輩、同期と大きな舞台で試合できるのが楽しみで仕方ありません!

そして後輩たちにももう任せられません。先輩として圧倒的な信頼感を抱かせる試合をしたいと思います。

今回の試合、全ての人に感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。