また、一年が終わろうとしている。年、日付、時間などは、単に数字が変わっていくだけで、地球以外どこでも意味を持たないものに過ぎないが、我々はこの数字がちょっと変わるだけでも、喜び、悲しみ、怒り、悔やむ。
この数字を示すカレンダーが、たった一枚めくられただけで、人と別れを告げ、新な道へ立たせられ、責任感を持たせられる。
その中でも別れは、虚しい。
早慶戦で引退した四年生の先輩たちは、まるで通過電車のようであった。
平穏な湖だった僕の心というプラットフォームは、たった一瞬の通過電車で乱れまくり、寄せてくる風に目をつぶると、思い出は走馬灯のように過ぎてしまった。掴めないスピードで走っていく電車の後ろ姿は、また虚しい。プラットフォームはまた静まるだろうけど。
今週の水曜日、4年生が引退してからはじめての稽古が行われた。
17時、薄暗い夕方の時間、図書館に行く蓮太郎さんと別れた途端に一層暗くなった空の重さが肩から感じられるようであった。いつものストレッチ、恭平さんのさえずりが聞こえない、大志さんが中央にいない、謙太さんの笑い声が聞こえない、いつも話しかけてくれる南雲さんがいない、ストレッチを監視してくれる陸雄さんがいない、存在感最強コリーさんがいない、バカにされているガイチさんがいない、ナンバーワンヒーロー蓮太郎さんがいない。思いっきり甘えられる先輩たちがいなくなった道場の畳は、素足で氷の上を歩くように冷たかった。
実は、今までの稽古で、僕はほぼ4年生の先輩たちとしか乱取りをしていなかった。「お前、絶対休ませない」と言ってくれる先輩も、「自分から行けよ」と言ってくれる先輩も、「ミンできる?」と言ってくれる先輩も、「ミーーーーイン」と言ってくれる先輩も、4年生の先輩だった。
僕はここで柔道を続けられるだろうか。
稽古が始まり、そのような心配はラフランスの爽のように甘く消えていった。僕はアツきの4か月の時限打ちパーになった。また陸斗は僕が投げられる度にアドバイスをしてくれた。井口さんはいつも面倒くさがらずに優しく教えてくれる。入道さんはいつも楽しく乱取りしてくれる。他の部員たちも、もちろん練習相手にしては、強すぎるけど、乱取りをしてくれた。いつか肩を並られるくらい強くなって、キョダイマックス早稲田を無力化させたい。そのためには、この寂しさから早く抜け出して、連打をやめないようにしないといけないと思った。
このように、心の気持ちが乱れと平穏の半ばぐらいにあった頃、全然知らない人からメッセージが来た。カカオトークでメッセージが来て、無論無視して終わりという場合が多いだろうが、今回それを読んで、皆さんにも紹介したいと思い、ここに翻訳文を残すことにした。
<品格>
人にも「品格」があるよう、花にも「花格」というものがある。
雪の中で咲く冬の梅花が「1品」
霜が降りても咲く菊の花が「2品」
泥の中で咲く蓮華は「3品」
北の方に去ったあなたに向かって咲く木蓮が「4品」
刺を立たせて自分を守るバラが「5品」
「師匠!同じ名前のものであっても、その質には上下があるよう、人の品格にも上下があるのでしょうか。」
「そうだ。」
「そのようでしたら、どのような人が下品なのでしょうか。」
「考えが浅く、言動が軽率で、欲に従って生きるものが下の下であると言える。」
「そのようでしたら、より良い者はどのような者でしょうか。」
「財物や地位にのみ依存して生きていく者は下、知識と技術にのみ依存して生きるものは中である」
「そのようでしたら、上の者とは、どのような者でしょうか。」
「自分の分際に満足し、真面目に生きていく者は中の上、徳と情を持ち、賢明に生きていく者の品格を上と言える。」
「そのようでしたら、上の上の品格を持った者とは、どういう者でしょうか。」
「生きていることに嬉しがりすぎず、死が首元に迫ってきても恐れたり悲しんだりせず、それを天命として謙虚に受け止めることができる者は、まさに上の上の品格を持っていると言える。」
花がどれだけ綺麗であっても、季節が過ぎれば
萎れてしまうが、縁の香りは
一生忘れることができない
消えていくものは美しい
淡紅色の桜が落ちずにいつも木にくっついているものだったら、人々は花見など行かないだろう
満開の桜も、十日ぐらいが過ぎれば
惜しみながら
一つ二つ散り落ちてしまう
人も結局年を取れば
老いて廃れていく
老いることなく、永遠に生きるのであれば
なにを求めて生きていけるのだろうか
この世に、足踏むところすらなくなり
人がいっぱいになって
地獄のようなものになるに違いない
消えて行くものに惜しむな
花も、時間も、愛も、人も、
いずれ消えてしまうということを
消えていくものはまた新しいものを
生み出す美しいものだ
ーーー省略ーーーー
内容は少々雑ではあったが、上に翻訳しておいた部分は、今の僕を慰めてくれるようであった。
そうだ。いつまでも過去にとどまっているわけにはいかない。自分のできることに、最善を尽くしていこう!
[四年生の先輩たちは、本当に最高の先輩でした。真面目な先輩たちとは言えないかもしれませんが、誰よりも暖かくて優しい心を持っていました。人数が多かった分、皆さんが違う性格で違う魅力があって本当に一緒にいて楽しかったです。皆さんが卒業して、社会に出てもきっと羽ばたいていくはずだと心から信じております。社会人になっても、道場を忘れずに、またお訪れになりまして、柔道を教えてください。]
だが、四年生の中にはまだ社会人になっていない男がいる。彼の名前は蓮太郎、松永蓮太郎。
彼の話はまだ終わっていない。もちろん、結末は今からの彼の努力次第であろう。今まで配ってきた優しい心を、今からは報われて、皆に頼って、ずっとニコニコした顔で頑張ってほしい。応援してます!
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Hearts of fire
creates love desire
Take you high and higher
to the world you belong
燃えるような心が
愛の欲望を作り出す
きみを連れて行くんだ
この世界の高い高いところまで
Hearts of fire
creates love desire
High and higher
to your place on the throne
心のなかの炎が
愛を強く求めるのさ
高く高く連れて行くよ
きみを王座のイスへと
We’ve come together on this special day
To sing our message loud and clear
Looking back we’ve touched on sorrowful days
Future pass, they disappear
僕らはこの特別な日に集まった
僕らのメッセージを高らかに歌うために
振り返ると 僕らは悲しい日々にまみれてた
未来への道も 消え失せていたのさ
You will find
peace of mind
If you look way down in your heart and soul
Don’t hesitate
‘cause the world seems cold
Stay young at heart
‘cause you’re never old at heart
自分のこころと魂
見つめてみるんだ
きみはこころの平静を見つけられる
世界が冷たく見えたとしても
ためらわないで
いつまでも若いこころを持っていよう
だってこころは年をとらないんだ
That’s the way of the world
Plant your flower and you grow a pearl
A child is born with a heart of gold
The way of the world
makes his heart grow cold
世界はそういうものなんだ
花を植えよう 真珠を育てよう
子ども達はもともと
金色のこころを持って生まれてくる
それを世界のあり方が
こころを冷たくしてしまうんだ
Hearts of fire
Love desire
High and higher
燃えるような心
愛の欲望
高く高く
Hearts of fire
creates love desire
High and higher
心のなかの炎
愛の欲望
高く高く
[that’s the way of the world, earth wind and fire]
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