平素よりお世話になっております。商学部二年の大月楓です。
清々しい夏を迎え、木々の緑が日増しに深くなって参りました。思い返せば、この夏という季節は、自分にとって、最も悔し涙を流し、また最も勝利に喜んだ季節であります。15年もの長きに渡り身を置いた勝負の世界は、計り知れない程の、かけがえの無い、貴重な経験の連続で、常に私の人生そのものであり、とても色鮮やかなものでありました。そしてその中で得た、多くの大切な友人達、常に私を導いてくださっている先生方、先輩方。多少の困難はあれ、何にも代え難い、とても幸せな15年間でした。
私大月楓は先日、競技者として引退させて頂きましたことを、この場をお借りしてご報告させて頂きます。理由と致しましては、長年付き合ってきた左足首の怪我の完治が見込めない為、また足首を庇い続けたことに引き金を引かれる形で発症した腰の負傷のためです。競技を継続していくことは難しいと何度も言われながら、それでも大好きな柔道を続けたい、その一心で2度の手術を乗り越え、長期に渡るリハビリを根気強く続け、なんとかここまでやって参りましたが、自分の体に限界を感じ、競技者として継続していくことが困難であるという思いが強くなってきたことから、この度引退を決意いたしました。お会いするたびに励ましてくださった先輩方や、長い間相談に乗ってきてくださった方々には心より御礼申し上げます。しかしながら、応援して頂いたにも関わらず、何も成し遂げずに競技人生を終えることになってしまったことにつきましては、大変不甲斐なく思っております。
今回自身が下した大きな決断に関して、未練がない、と言い切ることはできません。大学生活を賭して達成したかった、全国の大舞台での活躍。あの日本武道館で戦う自分を何度も夢にみました。また、先日の東京都学生では、選手のみんなが悔しさを噛み締めているその場に、部内戦にも練習にもいなかった僕は、第三者として眺めることしかできない。その悔しさは、耐え難いものがありました。自らの目標への道を、仲間と共に4年間走り抜ける権利を、自らの意思により手放すということに、胸を抉るような苦しみを覚えています。競技を続けていくのか苦悩していた時期は、たとえ真昼間でも、眼前には暗闇が広がっているような感覚が続き、将来への恐怖で眩暈を覚える、そんな日々が続きました。今回の決断に関して、自分はこれから幾度となく後悔していくことと思います。もう少しできたのではないか、何も為さずに終わってよかったのか。ただ、いつどんなおわり方をしても、後悔はあるはずです。後悔に苛まれながらも、今回踏み出した一歩をいつか誇りに思える時が来ると信じ、日々全力で生きていくしかないと思っています。
選手として引退させて頂きましたが、塾柔道部には引き続き所属させていただきたいと思っております。これからはマネージャー兼トレーナーとして、これから飛躍していく選手達のサポートをさせていただこうと思っております。前例のないイレギュラーな立場となり戸惑うことは多いと思いますが、自分がチームのためにできることは何かをよく考え、自分にしかできない貢献ができるように日々努力していきたいと思います。役割は変わりますが、今後ともチームの役に立てるよう精進いたしますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。