こんにちは、成宮陸雄です。早慶戦が終わり、早くも1ヶ月が経ちました。試合は非常に厳しい結果に終わりましたが、新体制に入り、部員一同気持ちを切り替え、稽古に励んでおります。六徳舎では引退された先輩方が、炭水化物をほとんど取らずに油ギトギトのお肉を食べたり、真っ赤なお粥を食べたりしてダイエットに励んでおられます。

皆様ワールドカップはご覧になられたでしょうか。日本はドイツ、スペインと同じグループで、決勝トーナメント進出も難しいと思われていましたが、この強豪2カ国を下し、グループ首位で決勝トーナメントに進出しました。念願のベスト8には届きませんでしたが、ドイツ、スペインいずれの試合でも得点を挙げた堂安選手や、ドイツの猛攻を防ぎ止めたキーパーの権田選手、スペイン戦でラインギリギリのボールを繋ぎ決勝点を生み出した三笘選手を始めとした日本代表選手たちの活躍は目を見張るもので、大変素晴らしいものを見せていただきました。

しかし、今回のような下馬評を覆す勝利やジャイアントキリングというようなことが起こると、その劇的な結果ばかりが注目され、奇跡だとか、ワールドカップのような大きなイベントでは何が起こるかわからないとかと言われ、「いかにして」勝ったのか、と言うプロセスの部分が軽んじられてしまいがちな気がします。素人目ではありますが、ドイツ、スペインとの試合は、どちらも各選手個人の体格や技術で日本は大きく劣り、ボールを奪えない中で、後半戦に重点を置きボールを奪った瞬間速攻をかけると言う作戦を忠実に実行し、生じた僅かなチャンスをものにした、勝つべくして勝った試合だったと思います。私が前回の部員日誌で触れた司馬遼太郎さんの小説『峠』に引き続き、現在読み進めている『坂の上の雲』は、江戸時代が終わってから間もない「まことに小さな国」日本が超大国ロシアを破り、歴史上最大とも言えるジャイアントキリングを果たした日露戦争について、いかにして勝ったのかということが書かれた小説です。ここでも、実際の戦闘の他に、長期にわたる苦戦を見据え、資金調達や和平仲介の根回しなど、ロシアに勝つために国の存亡を懸け、当時の日本の叡智を尽くしてさまざまな策が講じられていたことが描かれています。どんな奇跡の裏にも、それを成し遂げるためのさまざまな苦労があるのだと思います。

次の早慶戦でも厳しい戦いが予想されます。柔道はサッカーのような団体競技ではなく、純粋な個々人の実力が問われ、実力が上回る相手に勝つことは、サッカーよりも難しいでしょう。それでも然るべき準備をすれば、必ず勝てるはずです。チーム都倉の一員として、早慶戦優勝杯”奪還”に向け、全力を尽くしていきたいと思います。

今回はこれにて失礼いたします。