受験方式
合格体験記
法学部一般入試
法学部法律学科4年 上原 周 (立教新座高校)
法学部の一般入試について説明させていただきます。慶應義塾大学の法学部の場合は法律学科と政治学科の二つからなっています。法律学科と政治学科は同じ学部ですが講義内容はかなり異なるため、自分の興味のある分野の学科を受験されることをおすすめ致します。また私が受験したときとは傾向が変わってしまっているかもしれませんが、極力具体的に書いていきたいと思いますので、その点はご容赦ください。
まずは英語についてです。慶應義塾大学だけでなく大学入試一般について言えることではありますが、英語は重視される科目です。法学部の英語に関しては配点が200点と全科目のうち半分を占めており、英語を得点源とできる人が合格している傾向が強いように思います。具体的に見ていくと、最初に発音・アクセントの問題があり、ここは難問・奇問がありますがおそらく配点は低いですので、そこまで考えすぎてはいけません。次に会話文などがあるかもしれませんが、会話文は入試問題の中でも屈指の難しさのものもあり、帰国子女のように感覚的にできない人には厳しいものもありますので、ここも気楽に解いてください。カギは長文読解にあります。ここが一番、配点が大きいと思われますので、ここで得点を稼げるとかなり有利になります。しかし、時間がそこまでないため、かなり長い長文すべてを読みながら解いていくのは不可能に近いので、ここは単語を拾いつつ読んで行きましょう。オールマークシートのため、流れのなかで、重要な語彙を拾えていれば選択肢は選びやすくなるかと思います。
次は地歴についてですが、私は世界史受験をしたため、世界史の話をさせていただきます。法学部の世界史の場合、近現代史がメインとなります。中世以前はほとんど出ません。ですので、中世以降をやり、近現代史をしっかりやると得点につながると思います。しかし、特徴として、テーマ史として出題してくるので、気を付けてください。テーマ史だと時代が縦断的であったり、地域が横断的であったりするため、世界史という科目を包括的に覚えていく必要があるように感じます。これもマークシート方式のため、わかるところから埋めていき最後は消去法で答えを選ぶのが無難かな、と思います。
以上の2科目はマークシートでの解答なので、必ず全ての欄を埋めるようにしましょう。空欄で出してしまったら、絶対に得点にはなりませんが、適当にでも埋めれば得点になる可能性があるからです。
最後に小論文についてです。慶應義塾大学の場合、試験科目として国語の代わりに小論文を採用しています。小論文の対策はほとんどしていませんでしたが、これに関して気をつけていたことだけ書いておきます。書く際に与えられた質問に対する結論を用意して、そこまでの理由付けをしていき、文字数を埋めれば問題ありません。小論文では誤字脱字や大きな論理破綻がなければそこまで差はつきません。
勝負は英語・地歴の2科目だと考えてください。受験生の皆さんと慶應義塾大学で、また体育会柔道部でお会いできることを楽しみにしています。
法学部FIT入試
法学部政治学科4年 檜垣 卓志 (高松高校出身)
「慶應に来ないか。」2009年6月、高校三年で受験勉強、真最中の私の元に一通のメールが届きました。送って下さったのは高校の先輩であり、後に大学の先輩ともなる利國先輩でした。私が初めに紹介を頂いたのは、SFCのAO入試であり、書類選考と面接試験で合否の判定を決めるものでした。これから「受験の天王山」と言われる夏休みに差しかかる間際、日本教育の受験勉強に疑問と嫌気がさしていた私は、「書類と面接だけで慶應入れるなんておいしすぎるだろ!?」と思い、軽い気持ちで受験を決意しました。
そして、詳細を知ろうと、当時の受験生係のリーダーであった吉野先輩と連絡を取り合ったところ、法学部にもFIT入試という名のAO入試が存在し、そちらも併願して受けてはどうかと薦められました。これが、私とFIT入試との出会いでした。
私は石本監督にお会いし、受験指導をして頂くために、7月初旬、慶應義塾大学SFCのオープンキャンパスに参加しました。当初は、「論文書くだけで、慶應入学!」なんてふざけたことを思っており、後に深く後悔することになります。
石本監督からAO入試の制度について説明を聞くや否や、その難易度の高さに愕然としました。AO入試とは、ペーパー試験による画一的な試験により学力を図ることへ限界を悟り、将来の目標が明確である人間を見つけ出すため、面接や論文作成などの多面的な視点での試験を課して、総合的に評価し、合否を下す入試です。つまり、「社会に対して自分がどう貢献してゆきたいか」、「今現在起こっている社会問題を解決するために自分がどうすればよいのか」など、より具体的に定め、今後の自分の人生プランが明確な人間を入学させようとする試みなのです。なおかつ、法学部のFIT入試には、書類選考、面接に加え、グループディスカッション、論述試験、自己プレゼンテーションが加わります。
それまで、受験勉強のような机上の空論ばかりを習ってきて、社会問題の解決策など本気で考えたことのなかった私はとても焦りました。こんなちっぽけの私に社会で起きている問題の何が解決できるのだろうか……?やっぱ楽をして大学入ろうなんて考えが甘いんだよ、と一瞬、受験をためらいました。しかし、石本監督や吉野先輩に慶應義塾の素晴らしさや、塾柔道部の魅力についてとても熱意のこもったお話しを伺い、自分も慶應義塾大学に入学し、柔道部の一員になりたいと強く思いました。ここから、私とFIT入試、AO入試の格闘が始まったのです。
8月初めに書類提出があるSFCの第一期入試に向けて、まずテーマ探しから始めました。これが7月の前半です。何がいいだろうとあれこれ考えましたが、最終的に選んだのは教育問題です。ここで、なぜそのテーマを選んだのかについて述べれば、長くなるので止めます。テーマを決めてからは、教育に関する本を沢山読み、新聞の教育問題を毎日チェックし、実際の教師にも話を伺って、徹底的に調べ上げました。そして、まず自分で書き、石本監督と論文の添削を何回か繰り返し、最終的には内容の濃い書類を仕上げることができました。
そうして、苦労して書きあげたかいあり、一次試験の書類選考はFIT、AO入試ともに通過し、二次試験に挑みました。SFCの二次試験は、プレゼンテーションだけであったので、先に行われるFITの二次試験対策を行えば、大丈夫だろうと思い、迫ってくるFIT二次試験の、論述試験、自己プレゼンテーション、グループディスカッションなどの対策に全神経を集中させました。とは言いつつも、この対策も実に簡単なものでした。論述試験対策は一次試験の書類提出でかなりの実力がつきましたし、自己プレゼンも監督や先輩、両親とのやり取りの成果で、他人に自分を売り込む練習は出来ていました。グループディスカッションは、他の受験生を蹴落とさない協調性の心をもち、言葉のキャッチボールが出来れば大丈夫です。
こうして、待ちに待った、9月30日、運命の日が来ました。忘れもしない英語の授業の最中でした。合格発表の時間を過ぎても、連絡がなく、「駄目だったかな…。」と半ばあきらめていた矢先、吉野先輩からメールが届きました。
「合格です。おめでとう。これから慶大柔道部の一員としてともに頑張っていこう!」
あまりの嬉しさに、無意識に机を突き飛ばしてしまい、授業の邪魔をしてしいました。(笑)
その後、SFCの二次試験には行きませんでした。もし、また自分が受かれば、合格者が一人減り、つらい思いをする人が出てくるからです。
いま、私は憧れである慶應大学のキャンパスを歩いています。最終的には、指定校推薦というかたち法学部政治学に入学しましたが、FIT入試からは、本当に沢山のことを学びました。もし、あのまま一般入試の勉強をし続けていたら、自分の人生についてここまで深く考察することなんてなかったです。10代のうちに自分の将来と真剣向き合い、考えて、私は素晴らしい経験をしました。
結果はどうあれ、FITもしくは、AO入試を受けることは、必ず皆さんのプラスになると私は思います。もし、これを読んでくれたあなたが、慶應義塾大学柔道部に少しでも興味を持ち、AO入試の受験を選択肢の一つに考えて下されば幸いです。いま、受験を迷っている方、大切なのは、「Take action」!行動を起こせです。
皆様の、御健闘を心より祈っております。