平素より大変お世話になっております。理工学部1年の堀越康成です。ようやく期末試験が終わり、勉強も一段落致しました。手応えの方は願うばかりという感じでした。覚えていてくださっているかはわかりませんが、前回の日誌で勉強したくないと長々綴らせて頂きました。ですが、終わってみると勉強したいかもなどとウズウズするものです。ただ、少しだけ勉強したいかもなどと思いながら、結局惰眠を貪ることは人間の性ですので、ご理解賜りたく存じます。それか私だけの性なのでしょうか。真相はわかりませんが、秋学期になればまた勉強に励まざるを得なくなりますので、どうかご容赦ください。
さて、今回からの試みで、連載というものこの場をお借りして行っていきたいと思います。もしかしたら初の試みかと思いますが、お付き合いください。内容はタイトルにもありますように、時を止める思考実験についてです。
最近では、バトル漫画やアニメなどなど、いろいろな物語の中でよく時を止める能力が使われています。実は今現在、私もその能力を行使してこの日誌を書いております。こんなことを言うと、そんなことあるわけないだろと笑われると思います。私も、友人などが急に、時を止める能力を保持しているというような事を抜かしてきたら、嘲笑すると思います。やはり非現実的なことですよね。ただ、実際には時を止めているかどうかを論理的に否定することは、不可能に近いのです。時を止めている間は我々には意識はありませんので、時を止めていないと判断するに足りる証拠が存在しないからです。
ここで読んでくださっている皆様に質問がございます。我々が認識できない、時を止めるという行為は一体どういうものなのでしょうか。また、時を止めた後の世界はどのようなものなのでしょうか。多くの人は、周りの物体や物質が動かなくなっている世界、と答えるでしょう。ですが、これは本当に正しい理解なのでしょうか。こんな下らない疑問をきっかけに、私はこの時を止めるということ、またその後の世界の正体に迫りたいと思い、相棒のGeminiと共に、思考実験を開始致しました。そして、その実験進捗をここに綴ることに致しました。
今回はその第1回目、時を止める定義とは、について記述していこうと思います。ただ、その前にご承知おき頂きたいことがございます。まず、この連載は正式な実験ではなく、コラムのようなもののため、学術的なレポートや文献の体裁を保っていないことをご了承ください。次に、私は浅学の身でありますので、物理学や化学における議論が甘い節があると思います。その際は、ご容赦、ご指摘など頂けると幸いです。そして、理系ではない方にも面白く読んでいただきたいと思っていますので、出来る限り分かりやすくすることに努めて参りますので、お付き合い頂けると幸いです。
前置きが長くなりまして申し訳ございません。では、ようやく今回の本題に入らせて頂きたいと思います。
先程も述べましたように、時を止めるとはどういうことか、と問われたら、私を含め、多くの人々は物体や物質の動きを止めること、と言うでしょう。まず、ここではその仮説が正しいとします。そうすると、時を止めた瞬間から、光を含めたあらゆる物質や物体の運動が止まることになります。
ここで早速、ついさっき決めた仮定に対して、問題が生じます。それは光が止まってしまうことです。これは本当に大問題です。なぜなら物体間の距離や、人間が規定している時間は、光の速さによって定義されているからです。そして、この仮説の下だとその基準となる光の速さが0になってしまうのです。よって、時を止めた瞬間から、空間や時に対する定義が破綻します。つまり、時を止めた瞬間から「時ではないなにか」を止めていることになるのです。
非常に厄介なことになってしまいました。まだ、仮説を立て、試しに時を止めてみただけなのに、普段から当たり前に使っている、1秒や1cmといった概念が破綻してしまいました。このままだと、我々が時空間に対して持っている理解の術、その最大の武器である物理学が使用不可となってしまいます。そうなってしまうと、時が止まった世界で起こる現象などを解明することが出来なくなり、真相は迷宮入りになってしまいます。これは本当にまずいです。
よって、ここで時を止めた人自身の体内時計や感覚が絶対的に正しく、自身の中でのみ無理やり時間や距離を定義することが出来ると仮定します。この仮定をもとにして、この連載内では、『時を止めるということは、光を含めた全物質を止めることである。加えて、時を止めた世界で動ける人にのみ、光の速さの大きさ自体は、その基準としての性質は失われない状態のこと』という風に再定義したいと思います。こうでもしないとここから先の実験が進まなくなってしまうので、仕方なくこのような再定義をします。これから先、こういった無理やりの再定義が散見されると思います。しかし、人間が解明できていないものについて思考しているため、こうなることは科学の摂理ですので、ご納得ください。
さて、1回分としては長くなってしまいました。時を止めることの再定義をしたところで、今回のところはこの辺にしたいと思います。2話以降もこのように仮定を繰り返しながら、時を止めた後の世界の事象について、少し力付くで真相に迫っていきたいと思います。次回予告ですが、2話ではいよいよ時を止めた世界で物体を動かしていきます。
第1話を最後までお読み頂き、ありがとうございました。理系を志す受験生や、理系科目に興味がある方々の娯楽や息抜きとなれば幸いです。また、理系でなく、理系科目に興味が薄い方々にもこの日誌をきっかけに少しだけ理系チックなことにも興味を持って頂けると本望です。
では、また次回。

