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2026

私が勉強する理由のひとつ

平素よりお世話になっております。理工学部二年の城武卓頼です。

秋雨前線が去り、好天が続く今日この頃ですが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

私は秋学期が始まり、実験レポートがいかに手間のかかるものであるかをひしひしと実感しております。秋学期は春学期に比べて授業数も課題も格段に増えましたが、実験がないというだけで、これほどまでに気楽に過ごせるものかと感激しております。

さて、今回は、現在大きな注目を集めているノーベル賞について執筆いたします。

10月11日(日)時点で公表されている受賞者は、以下の8名です。

物理学賞 Francis Halzen

化学賞 Henri B. Kagan、Kenso Soai

生理学・医学賞 Karl Deisseroth、Peter Hegemann、Georg Nagel

文学賞 Anne Carson

平和賞 Navi Pillay

(THE NOVEL PRIZE. 2026. https://www.nobelprize.org/all-nobel-prizes-2026/. accessed October 11, 2026)

ご存知の方も多いと思いますが、今年も日本人が受賞者に選出され、これで日本人のノーベル賞受賞は3年連続となりました。研究者を取り巻く環境が決して容易ではない中で、世界的に高く評価される研究成果を挙げられたことに、深い敬意を表します。また、今年は受賞に至らなかったものの、日々研究に取り組まれている多くの研究者の方々にも、感謝と敬意を表したいと思います。

今回は、ノーベル賞受賞者がどのような研究によって評価されたのかを、できるだけ多くの方に知っていただくことを目的としています。以下では、私自身の理解に基づいて研究内容を紹介します。専門的な内容を簡略化しているため、厳密には正確でない部分が含まれる可能性があることをご了承ください。なお、今回は化学賞と物理学賞に絞って紹介いたします。

化学賞

まず、日本人受賞者である硤合憲三先生の研究について紹介します。先生の受賞理由は、「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒作用の発見に対して」です。

簡単に説明すると、鏡像異性体と呼ばれる、互いに鏡に映した関係にある分子のうち、片方を優先的に生成させる仕組みと、生成した分子自身がその後の反応を促進する仕組みの研究です。

鏡像異性体は、右手と左手のように、互いに鏡像の関係にありながら重ね合わせることができない分子です。生体内では、こうした構造の違いが物質の性質や働きに大きな影響を及ぼすことがあります。そのため、目的とする鏡像異性体を選択的に合成することは、有機化学における重要な課題です。

ここで重要になるのが、自己触媒作用です。この反応では、生成物自身がその生成反応を促進します。つまり、反応によって生じた分子が、さらなる生成を促す役割を果たすのです。

さらに、この研究で重要なのが非線形効果です。これは、反応に用いる物質の鏡像異性体の割合と、生成物における鏡像異性体の割合とが、単純な比例関係にならない現象を指します。適切な条件下では、わずかな鏡像異性体の偏りが、生成物において大きな偏りとなって現れることがあります。

このように、特定の鏡像異性体を選択的に生成させ、その偏りを自己触媒作用によって増幅できることは、分子の立体構造を制御するうえで重要な成果です。

この研究については、YouTubeチャンネル「予備校のノリで学ぶ『大学の数学・物理』」でも解説されています。私の説明よりも詳しく、わかりやすく解説されているため、興味のある方はぜひご覧ください。

(https://www.google.com/goto?url=CAESaAHrOzAVkahJPW_NHHB7rCo4W7qObep-SRoB7DFNv5pH5bRxeVvW_eJVEC4npAZCPvf4w08lBZLSXyx0KOPDI1fTWZGO0pgQOl0vUM2wlcsbLaYyObEGUVsTXsTFf3cE0ckiXI_27iTG)

物理学賞

次に、物理学賞について紹介します。今年はFrancis Halzen先生が受賞されました。受賞理由は、「IceCubeニュートリノ観測所への貢献と、宇宙物理的起源を持つ高エネルギーニュートリノの発見に対して」です。

ニュートリノとは、電荷を持たず、物質との相互作用が非常に弱い素粒子です。そのため、他の粒子であれば物質に遮られてしまうような状況でも、ニュートリノは容易に通り抜けることができます。太陽などから大量に飛来するニュートリノが、地球をほとんど妨げられることなく通過できるのも、この性質によるものです。

しかし、物質とほとんど相互作用しないという性質は、観測する側にとって大きな難点でもあります。ニュートリノが物質と反応する確率は非常に低く、その存在を捉えること自体が困難だからです。

日本では、カミオカンデやスーパーカミオカンデなどの観測施設によって、ニュートリノの研究が進められてきました。一方、今回の研究で重要なのは、ニュートリノそのものの発見ではなく、宇宙に起源を持つ高エネルギーニュートリノの観測です。

この観測に大きく貢献したのが、南極に設置されたIceCubeニュートリノ観測所です。IceCubeでは、南極の氷の中に多数の光検出器を配置しています。ニュートリノが氷中の物質と反応すると、荷電粒子が生じることがあり、その粒子が発する微弱な光を検出することで、ニュートリノの存在や性質を調べます。検出器は、氷の地下約1.5~2.5kmの深さを中心に設置されています。

南極の氷は、光が比較的長い距離を進める透明な媒質として機能します。また、検出器を地中深くに設置することで、宇宙から飛来するニュートリノ以外の粒子による影響を抑えながら観測できます。こうした特徴を生かし、IceCubeは高エネルギーニュートリノの観測を可能にしました。

つまり、今回の研究の意義は、観測が困難なニュートリノの性質を利用しながら、その宇宙物理的な起源を探るための観測手法を確立し、高エネルギーニュートリノの観測を通じて宇宙を研究する新たな道を切り開いたことにあります。

こちらについても、詳細な解説は以下のリンクからご覧いただけます。

(https://www.google.com/goto?url=CAESYwHrOzAVkl-mx9VS0vXQGMZt8lGJnr4SoCofp5MgfXAflKEWyGfbdMBAIWZlJYAJLwUx0S3NlpTtWQxGjKcIkB24cJPYRvkmKErmQOGznu0I_KjcDdGNdKtP4bLqvUWPke6xOw)

終わりに

私は高校生の頃、受験勉強に追われ、現在どのような研究が行われているのかに目を向ける余裕はほとんどありませんでした。しかし、大学生になり、SNSなどを通じてさまざまな情報に触れるようになったことで、専門分野に限らず、幅広い知識を得る機会が増えました。自分の知らなかった世界が次々と広がっていくように感じ、非常に興奮しております。

また、こうした研究の内容を知り、その意義を実感できるのは、高校までに学んできた知識や、数多くの問題演習を通じて身につけた基礎があるからこそだとも感じます。これまで学んできたことが、大学で触れる最先端の研究と結びつくことには、大きな喜びがあります。

大学では、これまで学んできた知識を大切にしながら、様々な分野の知識や問題に触れ、さらに自分の世界を広げていきたいと考えております。

本稿は以上になります。ご精読誠にありがとうございました。


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