いつからか、世界がドームのように見えてきた。青くて大きいドームが我々を覆っている。ユーチューブ動画で見た世界はあんなに広く、宇宙は無限の空間のように見えるが、現実は小さな劇場に過ぎない。そう考え始めると、この世界が朝8時の満員電車のように息苦しく思われた。しかし、まだ絶望するには早い。我々個人の世界は、想像を遥かに裏切るほど小さいかもしれない。卵ほどに。
「鳥は卵から抜け出ようと戦う。卵は世界である。生まれ出ようとする者は一つの世界を破壊しなければならない。鳥は、神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」
最近読んだ「デミアン」は、私が今まで読んだ小説の中で最も理解が難しかった。自分が何を食べたかもしれないまま飲み込んでいるようであった。「多読」が美徳とされている風潮に石を投げかけたくなる。この世には、本が多すぎるのではないか!これだと、次の本に進みたくない。しかし、もう一回、いや何回読んだとしても理解しきれそうではない。
しかし、ピストリウスは言った。歩道(人の道)を歩くな!私たちの中には、無数の自分がいる。その群れの中で、排斥された者たちはいつか叛乱を起こすだろう。だから、自分の中の善も惡も排除せずに彼らの声に従え。「先生がたやお父さんや、またはどこかの神さまにも、お気にめすかとか、都合がいいかなぞと、わざわざ聞かないことさ。そんなことをすれば、身をほろぼすことになる。そんなことをすれば、歩道をあるくようになって、化石になってしまうよ。」
