失礼いたします。商学部3年の山元でございます。
本日は、土用の丑の日です。
家族と地元の名店である鰻屋に行ってまいりました。
孤独のグルメ風にお話しさせていただきます。
「スタミナが欲しい」
稽古で消耗した身体が、炭火の香ばしさを思い出している。
脳裏によぎる。
ビタミンA、B、D、E、亜鉛、
この事実だけで美味い。
食べに行くしかない。
向かったのは、藤沢市にある鰻の名店「一幸(いっこう)」。
SFCからも近い。
名店と存じていたため、開店30分前に到着。
考えは甘かった。
既に30組以上が列を成していた。
しかし、
この列が美味さを裏付けている。
この待ち時間がスパイスになっていく。
呼ばれた、
うな重。ご飯大盛り。
蓋を開けると、炭火の香りがふわりと立ちのぼる。香ばしい皮。ふっくらした身。
美味さは確約された。
案の定である。
美味さを言語化できない。
しかもこの名店、一味違う。
「焦げ」だ。これがうまい。
焦げが、うまい鰻だった。
こんな焦げ、出会ったことがない。
もはや焦げだけで良い。
タレを感じさせないぐらいのタレの旨さである。
タレがもはや鰻であった。
口に運ぶ度に、咀嚼する度に
疲れが溶けていく。
これは食事の域を超越し、
感動そのものである。
うな重ときたら米。
この米がいい。
鰻の旨さを引き立てるどころか、堂々と共演してくるご飯の力強さ。
断じて、主演をもぎ取ろうとはしない。
シナジー効果を米で学ぶ。
帰ろうと思った矢先、
オレンジの登場である。
よくできている。
最初から最後まで、隙がない。
作品を見せつけられている感覚である。
できることなら毎日食べたい――そう思わせる説得力が、そこにはある。
そんな土用の丑の日であった。
完