こんにちは。4年の篠原です。

練習も通常通りの内容となり、ようやく当たり前の充実した学生生活が戻ってきております。

今日はあまり皆さんにお話ししていない私のアルバイトについて書いていこうと思います。

大学入学時、大学生にもなったし何となくアルバイトをしたいなぁ…なんてふわふわした気持ちを抱いていました。そんな折、仲良くしていただいていた齋藤先輩(令和2卒)の紹介で寮から自転車で3分の位置にある「魚よし」という海鮮を売りにした小料理屋で大学1年の5月から週に一回ペースで今も続けています。

お店は個人経営で、店主が1人でお店を切り盛りし、バイトが皿洗いやドリンク作り、雑用をこなすといった仕事内容です。

席数はカウンター10席、テーブル10席の計20席、客単価は5000円~10000円程度になっており、低価格と量を売りにするお店が多い日吉において、小さいながらも高級志向のお店として多くの常連さんに通っていただいています。
店主は毎朝4時に起き豊洲などの市場へ、その後ランチの仕込みをし、ランチも1人で魚を焼き続け、ランチが終わるとディナーの仕込みをし、夜も遅くまで営業していることを考えると、もっと値段をとってもいいと私は思います。

先ほど述べた通り席数が少ないためお客さんとの距離がかなり近く、雑用よりもバイトに求められることは会話になります。
日吉に住むお金を持った年配の方が若い頃の武勇伝や雑学、世間話や苦労話等、沢山のことをお話ししてくださり、毎度本当に勉強になっています。元よりおしゃべりが大好きな私にとってはうってつけの仕事です。

有名人、著名人も多くいらっしゃいます。経団連の中西会長や、柔道関係でも国士舘大学監督で全日本コーチの鈴木桂治先生、私の道場の先輩にあたり、全日本選手権や日本代表として活躍された現旭化成コーチの百瀬優さんなど、様々です。

今では沢山の常連さんに可愛がっていただくなかで、大変お世話になったエピソードがいくつもあるので、何個か紹介します。

「桂治さんの一声」
先述した通り、鈴木桂治先生がお店にいらっしゃる関係で、ありがたいことに様々な場面で私を可愛がってくれています。
味の素ナショナルトレーニングセンターにて大学や実業団の選手が集った合同稽古があり、慶應の選手も参加しました。私にとっては格上の選手しかいないような状況で、その中でも粘り強く稽古をしていたのですが、ある強豪校の学生に目をつけられ、殴るわ蹴るわ引っ掻くわの半ばいじめのような稽古をつけられました。すると、

「篠原頑張れよ!」

合同稽古では鋭い眼差しで腕を組み、特に声を発することのない桂治さんが激を一声飛ばしてくれたのです。それも日本代表でも国士舘の学生でもない私に対してです。
相手選手はビックリしたような顔で、急に私の引っ掻かれた体を見て
「大丈夫ですか?」
と敬語で話しかけ態度が一変しました。まさに命の恩人です。

昨年の東京都学生個人戦では、私の一回戦の試合を試合場の脇で腕を組み、じっと見つめていました。私はそれに試合中に気が付き、気合いを入れ直しました。
情けないことにその試合は延長戦で敗れてしまいましたが、試合後も一言声を掛けてくださり、本当にありがたいことこの上なかったです。
早慶戦も注目してくださっているので、最後の試合くらいは桂治さんに良いところを見せられるよう頑張ります。
※現在魚よしには桂治さんのサインが飾られています。それは良いとして、その隣に私の埼玉県大会準優勝の賞状も飾られています。オリンピックチャンピオンのサイン色紙と同列で飾られていますので、是非足を運んで確認しに来てください。

「六徳舎のテレビ」
現在六徳舎ではどでかい80インチのテレビが使用されています。横約2メートル、縦約1メートルの超大型テレビです。これもまた常連さんに寄付していただきました。
この常連さんは柔道経験者ということもあり、早慶戦も昨年観戦に来ていただきました。トレーニングが大好きで60歳を過ぎてベンチプレスのMAXが150kgの超人です。

「自転車」
私が今使用している自転車も、何を隠そう常連さんと店主に買っていただいたものです。
大学1年の年末、私は信じられないくらい運が悪く、一週間のうちに財布をなくし、スマホが壊れ、自転車を盗まれました。
私の大学生活における三大生活必需品が全て消え、意気消沈していることを常連さんに笑い話として提供したところ、

「俺が自転車買ってあげるから悪い流れを断ちきろう」

と言って本当に購入してくださいました。お陰さまで年始には全ての問題が片付き、今も大切にその自転車に乗って日吉の町を走り回っています。
ちなみにこの常連さんは柔道関係者でも何でもないですが、毎年早慶戦に足を運んでくださっており、パンフレットを3冊買ってくださっています。
常連さん自身の分、仕事で見にこれない魚よしの店主の分、いつもその常連さんが連れていってくださる居酒屋の店主の分です。これもまた本当にありがたい話です。

「柔道にはまった店主」
常連さんの話ばかりでしたが、もちろん店主には一番お世話になっています。
店主はもともとプロレスが好きで、休日はプロレスを見に行くことが多いのですが、今は柔道にはまっています。昨年度行われた大会の8割は観戦に来てくださっており、大きな大会は勿論、神奈川県大会等殆ど観客0の小規模大会にも足を運んでくださっていました。
早慶戦のパンフレットを何度も確認し、部員一人一人のプロフィールをチェックする店主は、恐らく慶應柔道部の関係者を除けば最も当部に詳しい人物だと思います。
昨年度早慶戦の協賛もしていただき、本当に柔道部を大切に想ってくださっています。

如何だったでしょうか。ここには書ききれない内容は沢山あります。食事に誘ってくださったり、ご自宅に招待してくださったり、挙げればきりがありません。

何となく始めたバイトがこんなにも自分の生活を大きく動かすとは思っていませんでした。もちろん、列挙したようなハッピーな経験だけではありません。お客さんによってはとんでもなく話が長かったり言い掛かりをつけられることもあります。ただ全てをひっくるめて本当に良い経験をさせていただいていると実感しております。

卒業まで数ヶ月、週に一回ペースだとあと何回バイトに入れるか分かりませんが、最後まで誠心誠意、仕事に雑談に努めたいと思います。

もちろん週6の柔道を第一とし、残された部活の時間を最優先に、早慶戦連覇に向けて駆け抜けたいと思います。
長文失礼致しました。

ps.現在私の他にも3年の稲葉、1年の都倉が魚よしでバイトしております。小さなお店なのでそう多くはバイトをとれませんが、私の知らない後輩たちにもその流れが続けばいいなと願っております。

おわり