こんばんは

副将の小田島です。

最後の部員日誌に何を書くか夏頃からたまに考えるようになっていました。区切りとはいえ、自分自身の過去回想をしても面白くない上、筆が乗らないだろうと思いましたので、ここは大好きな乱取り稽古を通じて大好きな同期の柔道スタイルを紹介したいと思います。

 

1)この紹介はあくまで小田島重夫個人の主観によるものである。

2)具体的な技術や攻略法は試合を控えているため掲載しない。

3)感覚的なことが多いと思いますが、柔道をやったことがない方にもできるだけ柔道と同期の魅力を伝えることができるように努力します。

 

事前データ

(0)小田島重夫

体重 108kg(100kg級)

長所(自称) 足技、タイミング(リズム)

短所 致命的運動神経のなさ、同階級と比較した時に体格的に劣っている(手足短め)

備考 小学二年生から柔道を始める。小学生時代は払腰中心の体格の大きい選手の典型的な柔道。(技がうまい先輩方に投げられ続けた経験からくる柔道の感覚と、どんなに辛くても頑張る精神力の原点)

中学校時代は精神的余裕から柔道を楽しむようになってくる。色々な技を試したり、ウエイトトレーニングをしたり・・・。この頃から現在に至るまで、組手と足技中心の柔道スタイル。

一番悔しかった試合 1年次の全日本学生柔道優勝大会

 

73kg級

(1)鈴木翼

彼は一番硬い同期。

組手をする指、足技を仕掛けた足が痛くなってくる。どういうことかというと、それは彼のトレーニングにある。トレーニングコーチのメニューを正確に一切の妥協なく取り組んでいるからである。一見細身に見えるが、道着の隙間から見える肉体は、彫刻のような美しく鋼のような筋肉を纏っている。

身長な高いはずの鈴木は組み合った状態になると私より圧倒的に低くなり身長差が逆転する。それ故後ろ重心になりやりづらさが増す。またその体勢から繰り出される背負い投げのタイミングが独特で、かつ見た目からはうかがい知れないパワーがある為警戒していないと投げられてしまう強力な技を持っている。

また他の柔道選手と全くリズムが違う為一番タイミングが取りづらい。相手のリズムを感じ取りかつ先の先を考えながら柔道をしている。

 

(2)江波戸水紀

技数一番の同期。

技のバリエーションが少ないがそれ故に、技出しのスピードが圧倒的に速い。そして速い上に一本背負いの威力は抜群である。脊髄反射の如く技を繰り出され、かつ受ける方向が全く異なる技を使ってくる為、一気に畳み掛けられると手の打ちようがない。

私はいかに組手を徹底して、技のマシンガンを回避しつつ一瞬の隙を突くスナイパーのように乱取りをしている。

 

81kg級

(3)渡辺大輝

部内で一番私自身の柔道をさせてもらえない同期。

高校時代からの身内であり手の内は全て把握されている。そして私の一つひとつの行動に対して、対応策を持っている。最もやりづらい相手である。

それ故、自身を見失って我武者羅になるほど、投げられてしまう。よって彼と柔道をしているときは、いかに冷静な状態を保ったまま攻める、我慢比べの知恵の輪のようだ。

 

?kg級

(4)林郁磨

恐らく高校時代に一番投げられた同期。

当時の体格差は10〜15kg程度私が重かった。しかしながら圧倒的筋力で強引に持っていかれ続けた。現在は20kg以上体重差があり、やっとまともに組み合えるようになった。それだけ彼の筋肉は偉大である。

打ち込みパートナーでもある為、流れで乱取り稽古の一本目にやることが多く、一本目からフルパワーで立ち向かう。彼との乱取りで技をかけられたときは、交通事故の衝撃をイメージしていただけるといいだろう。それだけ彼の技に勢いとパワーがあり、衝撃が体の芯に伝わることがわかる。それ故軽量級から怪我のリスクを見られ、練習相手として敬遠されてしまうこともあるが、それを少し気にしているのはギャップ萌えである。

ボディーバランスが良い為なかなか背中をついてくれないので、彼のパワーを逃しながらいかに技を入れるかを考えてやっている。少し気を抜いただけで鞭打ちになるリスクはあるが(笑)、それがまた集中力を爆発的に高める。

 

66kg級

さてみなさんお待ちかねの66kg級の紹介。近年、慶應で最も層の厚い階級である。そんな彼らと私との体格差は30〜40kg。それでいて私の強引に入った技は、受け切られ逆に30〜40kgも軽い人に投げられてしまう。柔能く剛を制すを体現しているような階級。それだけで魅力的である。さらに個々で全く違う柔道スタイルなのでとても面白い。

 

(5)堤大輝

投げられたときに、一番私が吹き飛ぶ同期。

私が投げられた時の例えとして、効果音をつけるならば、澁沢は「ストン」「コテ」、林は「ゴン」「ガン」と投げられるが、それに対して堤は「ズバーン」「バゴーン」ですね。(伝わると良いなぁ)

身体能力は部内随一で、規格外の破壊力を持つ。破壊力といっても林が純粋なパワーならば、堤は瞬発力だ。裏で林と「バネ人間」なんて呼んだりしている。

彼との乱取りは、いたってシンプル。どうやってぶん投げるか、ただそれだけを意識する。技が完璧に入ったら何方にせよ投げられるので、緊張感のあるアトラクションのような・・・とにかくエキサイティングである。

このことからわかるように、どんなに私が重くても、どんなに堤の身体能力が高くても、人はタイミングよく柔道技に入られたら投げられる。これも柔道の魅力の一つですね。

 

(6)齋藤渉

人生で一番乱取りをした同期。

小学校の頃から一緒に柔道をやってきて14年。一番負けたくない同期でもある。

彼との乱取りはとにかく気合い。

齋藤に運動量とスピードで圧倒される。そこで一歩でも引いたら強引で力があり、観客を惹き付けるような担ぎ技で投げられてしまう。齋藤はどんなに息が上がっても、どんなに相手にリードされていても、気合いでなんとかしてしまう選手である。

でもそんなかっこいい選手に、負けたくないし憧れるから、一番気合いを入れて全力でぶつかり合う。初めて練習してから14年経った今でも、バチバチの火花を散らすような乱取りをできることが、私自身の原動力の一つなのかもしれない。

 

(7)澁沢純

高校〜大学の7年間で一番乱取りをした同期であり、投げられると一番悔しい同期。

乱取り中のイメージは達人。そんなにスピードは速くないし、体はムキムキではあるが、堤ほどではない。

しかし私が渾身の一撃を放っても足が畳から離れずピクリとも浮かない。その一瞬だけ体重が重くなったかのように・・・。逆に計算し尽くされた彼の技を完璧に繰り出されたら、どうやっても堪えることができずに、投げられてしまう。手玉に取られているように強く感じる。それ故悔しい。

しかし連続した技の掛け合いが日常のコミュニケーションのようでだいたい毎日一本はやっている。組んだ感じでだいたいの調子の良し悪しもわかるようになってきてしまった。そしてお互いの調子がいいときは、リズム(タイミング)も合うので、お互いノリノリで楽しくなってきてしまうのかもしれない。調子のいい時ほどお互いの息が上がる相手である。

 

以上同期紹介でした。(伝わってなかったら本当に申し訳ありません。)

 

このように全く違う個性を持った柔道スタイルで乱取りをしていて最高に面白いのですが、一つ共通点があります。

それは、とてもストイックであるということ。

私は自分に甘い人間だということを自覚しています。しかしながらこの同期と最高の大学生活を送るためには、自分を律して自身で工夫し強くならなければいけないと本能的に感じました。そうでなければ同期の中に居る権利はない、と感じ取ったのでしょう。

自身の目標に対して全力で取り組み続けることで、その権利を得ていたのかなぁと感じる今日この頃です。

 

本当にこの同期がいなければ、大学生活は充実したものにはならなかったと思います。

 

この出会いに感謝を、そして大学最後の試合で祝杯を・・・。