こんにちは。五十嵐です。

すっかり気温も下がり、少し前まで大活躍だった半袖Tシャツたちがタンスの中でひっそり冬眠の準備に入っています。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

最近、幼稚園生や小学校低学年の子供に柔道を教える機会がありました。私が柔道を本格的に競技し始めたのが5歳なので、当時の私とほぼ同じ年代の子供達が生き生きと柔道に取り組む姿は、可愛らしくてたまりません。近年、柔道界の様々な問題が取り沙汰されています。本来柔道とは人間形成を目的とし、教育的価値を高く評価されているスポーツのはずです。しかし近年は勝つことだけを目的にした勝利至上主義の風潮が広がっていることも事実です。その原因として本来の柔道の精神が世間に正しく理解されていないことが一因としてあるのではないかと思います。

4年前、世界ジュニア選手権にて準決勝を終えた私がアップ会場へ戻ろうとすると、先ほどの試合で私に敗れたある国の選手が思いっきり自国の監督にビンタを喰らっている場面に遭遇しました。私は衝撃で言葉も出ませんでした。いくらジュニアのカテゴリといってもこれからの柔道界を担う選手達が集まるトップレベルの試合でこんなことが起こるのか、と。確かに海外には賞金やスポンサーからのお金で生計を立てている選手がいて、人生をかけて柔道に取り組んでいる選手がいるのも知っています。また、自国のプライドと責任を持って戦っているというプレッシャーも分かります。しかし、この経験は私になんともいえない蟠りを残しました。

もちろん、勝利至上主義が悪いということが言いたいのではありません。実際に私自身も勝つために柔道に取り組んできました。しかし、幸いにも多くの優れた指導者に恵まれ、柔道から多くのことを学ぶことができました。勝利を目的とせず人格形成の手段の一つだと考え、真の目的を見失うことのないように指導していただきました。しかしまだまだ本来の柔道の目的を理解できていない指導者が国内国外にも多くいるのだと思います。今のこの柔道に対する世間のイメージが払拭され、柔道の魅力をより多くの人に知ってもらえるようになればいいなと、いち柔道家として考えております。

 

さて、早慶戦まであと3週間を切りました。昨年は怪我で出場できなかった私にとっては1年半以上振りの復帰戦であり、人生で2度目の早慶戦です。3年間一緒に過ごした大好きな先輩方と戦える最後の試合だと考えると涙が出そうになりますが、先輩方に有終の美を飾らせることができるよう、限られた練習時間を噛みしめながら全力で準備したいと思います。

今年の四年生の中で、特に女子の先輩方とは一緒に過ごす時間も多くお世話になりました。私が慶應義塾大学に受験をするきっかけをくださった内の1人、主将3年目のベテラン平野先輩、打ち込みパートナーとしてたくさんの投げ込みを受けてくださった宮下先輩にはたくさんのご迷惑をかけ、面倒を見てもらいました。男子の先輩方々もいつも本当に優しく気さくに話しかけてくださいました。

話し始めたらキリが無いのですが、こんなにわがままで自分勝手で甘々人間な私を温かく時には厳しく見守ってくれるお姉さんお兄さん方がいたからこそ、柔道に向き合うことができ、ここ慶應義塾大学柔道部に自分の居場所を感じることができたのだと思います。この場を借りてお礼とお詫びをしたいところではありますが、それは試合で表したいと思います。

 

今回の部員日誌は早慶戦前ということもあり、柔道一色でした。

では皆さま、11月14日、精一杯頑張りますので、応援の程よろしくお願いします。

チーム一丸となって頑張りましょう!